人形劇団ポポロ  
 ロシア公演(第5回国際人形劇フェスティバル“アルレキンのお客様”)レポート 

鳴り止まぬ拍手とスタンディングオベーションに感激。

ロシアの国際人形劇祭「アルレキンのお客様」で
音楽構成賞を受賞しました。

2017年9月、ロシアの大規模文化イベントのひとつ「第5回国際人形劇フェスティバル“アルレキンのお客様”」(ロシア・西シベリア・オムスク市)で「鬼ひめ哀話」を上演しました。 日本語上演(字幕付)にもかかわらず、2ステージともに沸き起こるスタンディングオベーションに一同大感動!
邦楽生演奏と人形芝居の素晴らしさが世界の方々に認められ、世界の人形劇人と交歓し友好を深める、素晴らしい経験となりました。

 

慣れない海外公演の成功には、現地スタッフの協力が。

左:道具などを詰め込んだスーツケース(多い!)
右:劇団員三好・水野とイリーナ(中央)

25時間のフライトでヘトヘトの私たちを空港で出迎えてくれた(朝の5時に!)アルレキン人形劇場の女優イリーナや、美術担当で日本の事が大好きだというダーシャをはじめ、アルレキン劇場のスタッフさんは、私達の思いっきりのゼスチャーと片言の英語と擬音語(笑)に全力で応えてくれました。

また、劇場の美術スタッフの皆さんにお願いした、日本から持って行けない大きなセットも、素晴らしい仕上がり!

なれない海外での上演に不安だった私たちは、ホッと胸をなでおろしました。

 

そのまま訳せない?「鬼ひめ哀話」は「鬼のところにやってきた姫のものがたり」に

最初の驚きは、「鬼ひめ哀話」というタイトルが文化的に受け入れがたいと言われたこと。ロシアの感覚では「鬼=悪魔」なので、「鬼」に寄り添ったように感じられて違和感があるという理由からでした。紆余曲折を経てロシア語で「鬼のところにやってきた姫のものがたり」というタイトルに。私たちが最初に感じた「文化の壁」でした。

 

さまざまなメディアからの取材にびっくり

上:ロシアの記事の画面キャプチャー/下:記者会見の様子

 

現地では、取材の多さに驚きました。皆さんの興味は「鬼なのに許される物語はおかしいのでは?」「日本では人を殺す描写のある作品を子どもに見せるのか」というもの。「鬼ではなく、人のこころにすむ鬼」という意図や、「シリアスなテーマだからこそ、子どもたちとは真剣に向き合いたい。そして観た後に家族や友人と話し合ってもらいたい。」といった想いを伝えました。
「日本スタイルの罪と罰」「ひとの心の善と悪」など、想いをくみ取った記事にしていただけて、本当にうれしかったです。

記事参考(日本語):

●在ロシア日本語大使館の記事(日本語)
●上記の報告書(オムスク新聞和訳)(日本語)
●スプートニクの記事(日本語)

記事参考(ロシア語):

●週刊オムスク社会経済新聞「ヴェチェールヌイ・オムスク」
●「山根宏章-オムスクで私たちはまるでポップスターのように拍手喝さいを浴びた」
●「日本人がオムスク市民に見せてくれたのは二人の殺人と夢への希求を描いた民話だった」
●「姫と鬼ひめ。日本人が人形劇祭で見せた芝居」
●「オムスクのアルレキンの舞台で日本の劇団が鬼に変身する姫の芝居を演じた」
●「日本の人形遣いが姫を鬼に変身させた」(オムスク州テレビ放送、動画)

いざ本番。日本語での上演なのに「伝わった!」

セリフの多い演目の日本語上演(字幕付)なので、ロシアをはじめ世界の人たちに伝わるのか?が、幕が開くまで心配でした。 日本とは違う反応にびっくりすることもありましたが、最後に緞帳がおりると、お客さんのスタンディングオベーションに拍手喝采、ブラボーの嵐!

上演後、すれ違う色々な国の人にスパシーバー(ありがとう)や、意味がわからないながらも「誉めてくれている!」と思われる言葉を沢山かけられたことで、国際人形劇祭に来たんだ、ということを実感しました。

 

「音楽構成賞」を受賞!

授賞式の様子

14カ国・19劇団の中から、なんと「音楽構成賞」を受賞! そして、水野沙織が個人賞を受賞しました! 地唄・三味線などの邦楽と人形芝居が、世界の方々に伝わったのだと心からうれしく思いました。

 

多くの方々に支えられた海外公演

パレード

文化や言葉の違いを超えて、「鬼ひめ哀話」が伝わったこと、 沢山の人に支えられてオムスクでの公演を成功できたことは、ポポロにとって大きな財産になりました。
ロシアとのやりとりや通訳で尽力いただいたコーディネーターの田代紀子さんをはじめ、多くの方々にお世話になりました。