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時は春、ここはナニワのどぶ板横丁。 ちょっと気弱な春やんが気持ち良く昼寝の最中。 女房のおさきが覗き込んで「いやぁ夢見てるんやわ、にやけた顔してからヨダレ垂らして、あんたおきなはれ」 夢の話を詮索されても、春やんにはちっとも覚えがない。 女房のあとが隣の徳さん、家主の幸兵衛までが問いただす。 「言わんというなら長屋を追い出す」と言われては堪忍できず、奉行所に訴え出る。 「よほどおもしろい夢らしいな、わしにだけは語れ」お奉行までが無理難題、とうとう松の木に吊り下げられて野ざらしの夜となるが・・・。 あわれ春やんの運命は、こりゃまた切ない夢物語。 語りの爺さまが語る信濃の昔話。 むかし、信濃の国の山間に小さな村があった。その村には、屑川という川が村を二つに割るようにあり、秋の長雨の季節には毎年洪水におびえる貧しい百姓たちが暮らしていた。 そのひとりである水飲み百姓の余平とその娘お千代は二人っきりでひっそり暮らしていたが、ある秋のこと、お千代が不意に寝込んでしまった。ヒエの粥ばかりしかない暮らしの中では薬も食べ物もなく、お千代はどんどん弱っていった。 病の床でお千代がふと漏らした「おら、死ぬ前に小豆まんま食いてえ」。その日はまたひどい雨と風、村人は総出で川の土手に集まっていた。「なに、盗っ人だと。コメを一握り小豆を一握り盗んでいったと?」名主の豪右衛門の怒声が響いた・・・。
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