人形劇団ポポロ  

2017年 新しい年を迎えて

七草粥をいただいて、自然が与えてくれる、ほんわかとした季の味を忘れかけている自分に気が付きました。五臓六腑にしみわたってゆくこの味、ふるさとの草のにおいまで蘇ってきて、もうじき八十の坂へさしかかるこの身にとって大切なこと、それはこのような味を忘れずに嗜みながら生きる・・・だけでなく、伝えていく役割もあるのかな、と思ったりしながら幸せをかみしめ、これもまた平穏な年明けだったからと、心底ありがたく思います。

 

と同時に、いまだ復興がままならない福島をはじめ東北、そして熊本の方々、さらには昨年末に大火があった糸魚川の方々へ心からお見舞い申し上げますとともに一日も早く平穏の日々を取り戻されますようお祈りいたします。

 

40周年記念公演「耳なし芳一」演出時のさねとう先生と山根宏章

さてところで、わたしたちは今、故さねとうあきら先生への追悼公演の準備を進めているところです。選んだ作品は「おにひめさま」。10年前の公演でわたしたちは、さねとう先生自ら台本・演出にわたり監修していただいて気迫にあふれる舞台を経験し、その後も「鬼笛」などの作品で病気療養中のからだをおしてご指導をいただいたりと、わたしたちにとってなくてはならない存在でした。

ですから、昨年3月不意に他界されて、わたしたちは羅針盤を失った思いでしたが、気を取り直し今回の公演を最高の舞台に仕上げようと企図いたしました。全国の小学校、中学校、高校でも上演できるといいのですが・・・。

 

日本全国の端々へ学校公演に出演し続けながら、子どもたちに舞台を届ける役割がどんなに重いものか身をもって体験してきましたが、だれもが同じ舞台を見られるこの機会をもっともっと拡充させていきたいもの、との思いをさらに強く感じています。

子どもたちに心の栄養を、分け隔てなく届けてゆくこの仕事を、自らの身体と心を鍛えて、いつまでもどこまでも続けていきたいものと改めて心に刻む新春です。 ポポロの人形達ともどもよろしくお願いいたします。

 

2017年1月 人形劇団ポポロ代表 山根 宏章